手元にお気に入りの服がある時、「こんな服が作れたらいいな」と思うことが
フレンチスリーブは袖無しで平面的ですから、型紙作成では服を解体してそのまま紙に写してしまおう、、と試みる方もいらっしゃるでしょう。 解体した布は伸びたり型崩れしたりと正確に写すことはなかなか難しいものです。
手元に パタピッ ででき上がった型紙で実際に服を製作し着用してみましょう。 その服を着て「形よい」「着心地が良い」を実感していただけたらと思います。 また、もし服を解体して構わなければ、解体した服を紙に写し、でき上がった型紙で服を作って同じ様に着用してみましょう。 パタピッ ででき上がった型紙と布を写した型紙、双方の形と着心地の比較をしてみてください。 袖付きのデザインであれば更にその違いを実感していただけると思います。 「製図は大事」について、今まで製図を学習されて、なかなか思うような仕上がりにならないという経験をしてきた方は、ここまでの説明で「そうなんだよね」と共感していただける方が多いと思います。 まだ経験が浅く、作る服の数が少ない方は「製図ってそんなに大切?」「違いなんてあるの?」と理解するのに時間がかかるでしょう。 経験を重ねていく中で「どうしてうまく仕上がらないんだろう?」と疑問を感じた時に改めてここに戻って来てください。 「製図」を理解するスタートに立てます。 このデザインは、既製服でよく見かける「前が短く 後が長い」デザインです。 その引き方も解説します。
※ 既製服などで異なるサイズに展開する場合 量産システムでは切開方式(拡大縮小方式)でグレーディングします。 サイズが大きくなると全体が大きくなるという点で生じる不具合を感じることがあります。 それでは、細やかな製図作成を試みてみましょう。 今回のデザインの様に、縫製が簡単なものなどはそのスタートとしてお勧めします。 右写真以外の異なるフレンチスリーブも含めて製図方法、大事なポイントをお話します。
製図の善し悪しは服を着て判断できることです。 パタピッ を道具に正しい製図でソーイングを楽しんでいただきたいと思います。 仕事ではなく趣味で服作りを楽しむユーザーの方々も、「形よい」「着心地が良い」服の製図スキルを上げ、おしゃれを楽しんでいただきたいと思います。 すれ違う人が自分の着る服を見た時に「素敵な服!」「ブランド服かな?」と常に思ってもらえたら大きな満足となるでしょう。
見本の服がある場合、まずその仕上がり寸法を計測します。 <見本の服を計測します> 下図の計測箇所が製図ではどの位置になるのか、 この後、でき上がった製図の画像に同じ番号を書きます。参考にご覧ください。
@ バスト辺りの身幅を測る A 裾の身幅を測る B 前丈と後丈を測る C 背肩幅を測る ※ フレンチスリーブの製図では、2cmほどプラスしましょう。Mサイズでは40cm、という具合です。 この2cmについてはこの後解説します。 ※ パタピッ ユーザーの中には、フレンチの先端までの長さを「背肩幅」に入力して処理される方がいらっしゃるかも知れません。 しかし、フレンチスリーブの場合は、肩から先の袖は、延長線を傾斜させます。(大事なポイントです。 製図解説で説明します。)
E 天巾を測る F 前ネックラインの高さを測る G 後ネックラインの高さを測る
この服を計測した数値は下記です。 @ 身幅 47.5cm(一周95cm) A 裾幅 49cm(一周98cm) B 前丈 53cm 後丈 61cm C 背肩幅 40cm D 後AHの高さ 24cm E 天巾 22cm F 前ネックラインの高さ 10cm G 後ネックラインの高さ 5cm
パタピッ は体型補正ができますので、見本より「身幅を少し小さく、又は大きく」「着丈を長く、又は短く」など、一部変更したいという場合は、数値を変えて操作してください。 現物を計測した数値のまま操作する項目とそうでない項目があります。 各入力項目の意味は、ご購入時のマニュアルが詳しく解説していますが、今回のデザインでは、「バスト」「背丈」「ヒップ」は着用者の採寸寸法を入力します。 「Bゆとり」・・・ バストの仕上がりは一周95cmです。 95−「バスト」=「Bゆとり」 ヒップに付いては、そのままでき上がり寸法を入力してもパタピッ はヒップに付いては体型を認識しませんので大丈夫です。 下表では混乱しない様に、A裾幅(一周98)−「ヒップ」=「Hゆとり」 としました。 「着丈」・・・ この見本は決定し辛い部分です。 後のネックラインが下がったデザインだからです。 ボディーや人が着用し、後中心丈を計測すると分かり易いです。 後ネックのくりっと骨が出た部分から裾までの丈が「着丈」です。
「肩傾斜調節」・・・ 「1」と入力します。 フレンチスリーブの基本ですが、腕の上げ下ろしの運動量がこの「1」です。 服をそのまま書き写した場合にこの傾斜は正確に反映されません。 ここは着心地に影響します。 「背肩幅」・・・ 着用者の背肩幅+2 としました。 この2cmも運動量です。 細やかに操作してみましょう。
![]() まず、サンプル服のままの製図を説明します。 実行ボタンを押すと下左の製図が画面に現れます。 これがパタピッ の基本製図ですが、他のサイズでも、特殊サイズでも、パタピッ は体型を認識して自動でここまでの製図を正確に仕上げます。 この基本製図がとても大事です。 ![]() ![]() この後 展開作業(フレンチスリーブと裾の線を入れる)をしてでき上がります。(下図参照) この展開作業は、印刷した製図に服を乗せて、カーブなどを鉛筆で写し書きしても良いでしょう。 パタピッ で前後身頃のバランスは既に整っていますから、それ以外の部分を写すことは問題ありません。
事業目的の方の為に ここではCADを使って製図の解説をしますが、CADを持たないユーザーは、基本製図を印刷した後 同じ方法で追加線を鉛筆書きしてください。 ![]() 肩先を延長します。 この見本のフレンチスリーブの長さは7cmです。 前も後も同寸延長します。
AHのラインを描きますが、服を計測した「前後中心からAHまでの横の長さ」(青で示した部分)を目安に引きましょう。 前後の丈が異なるデザインです。 「後丈」は「着丈」で決定しますので、前を決めなければいけません。 見本を計測した「前丈」を目安に前中心の裾位置を決めて、前後の裾のカーブを描きましょう。 余分な線を消して仕上げると 下の製図になります。 ![]() <ネックリブ> このデザインはネックに2cm幅のリブニットが付いています。 リブは長方形です。 リブは伸縮率や柔らかさが異なりますので、生地に合わせてネックラインに縫合して仕上げます。 ![]() バストサイズが大きくなるとパタピッ は体型認識をします。 女性の服では前身幅が広くなり前丈が長くなります。 下図は入力表の3Lサイズの数値を入力してでき上がった製図です。 右図は人間の身体の前後の寸法差を表した図です。 この差を認識して製図を作成することが大切になってきます。 着心地に影響する部分です。
![]() ※ 入力表では、2Lと3Lサイズはバストダーツを敢えて有効にしました。 既製服と異なるグレーディング(サイズ変換)方法です。 パタピッ はこれができます。 胸が大きくなる場合、ダーツを入れることで服が立体になります。 大きなサイズでは平面製図のままですと脇にたるみじわを作ることがあります。 それをダーツで処理することで立体になり しわが消え 自然に身体に収まります。 特に大きなサイズでは、体型認識無く製図を引き服を作ると、前幅が足りずに胸が窮屈で着心地が悪くなったり、前丈が足りずに前上がりになったり、、、
前後の違いを認識して製図を引いた服は柄が水平になります。(右服) 既製服の中にもこの傾向が見られる服に時々出会います。 着用した時に形や着心地に違和感を感じることで気付きます。 既製の服がどれも決して理想の製図ででき上がっているとは限りません。 現物の服を元に製図を引く際、「デザインは気に入っているけど何か着心地が悪いな」と思われたら、パタピッ を操作してでき上がった製図のまま一度試作してみてください。 形良く着心地が良くなる場合があります。 フレンチスリーブの袖丈によるアームホールの描き方の違い ![]() 袖丈が長くなると、、、前説のアームホールの形状ではなく、上左の様に脇線と自然に繋がる形状になります。 更に長くすると、、、脇線にも繋がりません。 フレンチスリーブで難しい点は、「袖口」です。 ここは経験豊富な方でも結構毎回悩みます。 フレンチスリーブ全般を解説しました。 今後の製図作成にお役立てください。 |