正しい体型補正についてお話します

パタピッ 操作 (3) 猫背

パタピッ 操作(1)バストが大きい」 の解説で、前後丈前後身幅に付いて詳しく解説していますので、そちらをご覧になった後、こちらの解説を見ていただくと、より理解が深まるでしょう。 パタピッ 操作(1)」の解説はしてご覧ください。

猫背の体型の場合、バストが大きい体型とは逆に、前丈(A)と後丈(B)との比較では、後丈の方が長くなる傾向にあります。(左図参照)

足りない後ろ丈を、後の裾を下げて水平にすることがあります。 これは正しい補正ではありません。 ストライプ柄やチェックの生地を使った場合に柄の流れが乱れ、後上がりを強調してしまいます。(右図参照)

「前後丈調節」を使います。 バストが大きい時の補正と逆の操作をします。
マイナス数値を入力すると前丈が短くなり、前後身頃の柄が水平になりバランスが整います。

又、前後の幅についても、バストが大きい体型とは逆に、背中に厚みが取られますので、後幅(D)の方が広く必要です。
「身幅調節」を使います。 こちらも、マイナス数値を入力すると、前身幅(C)が狭くなり、その分 後身幅(D)が広くなります。


「前後丈調節」の数値は、着用者の身体を計測して決めましょう。
「前丈」「後丈」を測ることで分かります。(右図参照)

ショルダーネックポイント(SNP)は、左又は右の首の付け根あたりです。 ウエストラインが分かり難い場合は、お腹周りを紐のようなもので一周回して結ぶと、ウエストラインを視覚化することができます。その紐が水平になるように結んでください。 SNPからその紐までの距離を測ると前後の丈の差が分かります。

この寸法差は、同一人物の場合、大きな体型変化がなければ常に一定ですから、他のデザインのパタピッ 操作でも役に立ちます。 メモっておきましょう。

パタピッ の操作画面(上図)の右上にサイズ入力枠があります。
そこに、着用者の数値やデザインに関わる数値を入力して実行ボタンを押すと、画面の製図が動いてでき上がります。 その製図の線上を右クリックすると、寸法を計測することができます。

前丈Bと後丈Cを測ると前後の差が分かります。
着用者の身体を測った寸法と異なる場合に、
「前後丈調節」に調整したい寸法を入力して再実行すると前後の丈のバランスを整えて画面の製図はでき上がります。

猫背体型の場合は、「前後丈調節」に通常はマイナス数値を入れます。
でき上がった画面の製図を再度測ることで調整されていることを確認することができます。

 製図では、服の裾までの丈を計測しますが、右図で説明した前後丈はウエストまでの距離。それで構いません。身体の差も服の差も同じと考えてください。 大事なことは、でき上がった服を横から見た時に水平になることです。

 お年寄りの場合の猫背は、前後の丈の差が10cmを超えることがあります。 その場合、「前後丈調節」に「−10」など、大きな寸法を入力すると、製図のバランスを大きく崩します。 デザインにもよりますが、「−7」までにとどめ、それ以上の調整は後の裾を降ろすなどで調整をしてください。致し方ないでしょう。 生地の選択では、横ストライプやチェック柄を避けていただくのが良いでしょう。

お年寄りのお洋服の製図方法をパタピッ スタイルMagazine に載せました。(上写真) 
こちらの操作は、ユーザー限定で見ることができます。 
パタピッ 入門ハイグレードセットでも操作が可能です。


<後身頃の肩ダーツは、ネックラインの浮きを解消する>

入力項目「肩いせ」に1.1cm以上の数値を入れると、後身頃の肩にダーツが自動で作成されます。 通常は1.5cmが程よいでしょう。 お年寄りの場合は2cmでも構いません。

その肩ダーツを、ネックラインに移動すると、更にネックラインの浮きを押さえることができるでしょう。(下図はCADの操作画面です。 CADを持たない場合は、印刷した紙面にはさみを入れたりた畳んだりして移動してください。)

<後身頃のタックやギャザーは、背中にゆとりができ動き易い>

背中にタックやギャザーを施すと、更に動きやすく着心地は良くなるでしょう。
メンズシャツでよく見かけますが、背中にユーク切り替えがあり、その下がタックになっています。(下図参照)
メンズシャツは男性の作業着です。 猫背体型でもこの様なデザインは有効です。
特にお年寄りのお洋服の場合は、この分量を多め(5〜10)入れると着心地が良いでしょう。